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1.PSROがTEFRAに基づきPROに改組
TEFRA(税制均衡財政責任法/Tax Equity and Fiscal Responsibility Act of 1982)により、公的医療保障の適正化が行われた。
PSROの支払審査は診療の量の妥当性によるもので、診療に係わる費用や内容にまで及ぶものではなかった。この審査機能を強化するためにTEFRAに基づきPSROはPROへと改組し進展された。
メディケアからの支払は各州に設置されたPROが審査を行い、その内容は、診断内容の正確性、提供された医療サービスの妥当性、患者の入院、転院が適切か否かを判断している。
2.医療費抑制の効力に乏かったCPR支払方式
メディケアの創設以来、償還額決定方式はCPR(Customary Prevailing Reasonable)という方式がとられていた。各州のメディケイドも、メディケア方式を多く取り入れているため、米国の公的な医療保障制度の基本的な償還額決定方式となっている。
CPRは自由診療価格を償還月額決定の基本因子としているため、政策介入の範囲が極めて限られる。連邦政府はこれを是正し、医療費コントロールを強化するためにパートAにDRG(Diagnostic Related Groups)−PPS(Prospective Payment System)、パートBにRVS(Resource-based Relative-value Scale)を導入したのである。
3.メディケアにDRG/PPSの導入
国民医療費がついに1982年にはGNPの10%を突破し、本格的な医療費の抑制策が必要となった。そのため翌1983年にDRG/PPSがメディケアに導入された。
DRG/PPSは、1970年代の初めにエール大学で考案された医療費定額予見払い方式を基礎としている。具体的には疾病診断をグループ化し、更にこれを医療行為・年齢・退院時の状態等で細分化し妥当な入院日数を40万人の診療録から統計的に割り出し、これを金額換算したものである。この支払方式は研究者達が加入するHMOの医療費コントロール、財政運営を管理する目的で作成されたものである。
本支払方式が極めて財政管理に貢献することが、話題となっていた背景もあり法案は、誰もが予想できなかった程早いペースで作成され、1983年には立法化された。
DPG/PPSはホスピタルフィーの運営費用に適用された制度であり、医師の費用、病院のキャピタル費用(土地・建物・教育費等)は別途償還方式で支払われている。
(1)DRG−PPS償還額算定の方式
入院1件当たり償還額は連邦償還価格に病院賃金指標・DRG係数を乗じ更に付加的支払額が加算されるという方式で算定される。 (2)DRG係数の決定方法
DRG係数は、疾病・手術の有無、患者特性等によって医療サービスの難易度を係数化したものである。件数の決定因子と決定フローは、診断群、手術の有無、診断名、年齢、合併症などにより決定される。
4.医師の技術料にRVSを導入
1989年に医師の技術料等に係わるメディケア・パートBの抜本的改正を含む法律(1989年総合予算調整法、通称OBRA89法, Omnibus Budget Reconciliation Act of 1989)が成立した。その法律により、診療報酬償還額決定方式をCPRからRVS(Resource-based Relative-value Scale)に切り替える改革が行われた。RVSは略名称で正式にはRBRVSという。RVU(Relative Value Units)と称される診療行為の相対指標に、地域調整・ドル換算の係数を乗じて診療報酬点数表を作りこれを償還額とする制度である。1985年から1989年の間にパートBの医療費の伸びはパートAの3倍を示した。この要因が医師の医療サービスの単価向上、1件当たりの医療サービス量の増加によってもたらされたものが調査の結果明らかとなった。医師の技術量に何らかの抑制策をかけることは避けられない課題となっていた。本制度の施行は1992年より段階的に行われ、5年後の1996年に全米で実施されている。
(1)RVSの起源はCOBRA
連邦議会は高額化する医師技術料に対して、1984年に85年から翌年2年間の改定凍結するといった抑制策を講じた。その直後の1985年に抜本的改革に着手するCOBRA(1985年包括予算調停強化法, Consolidated Omnibus Budget Reconciliation Act of 1985)を成立させた。本法により議会に医師報酬検討委員会(PPRC, Physician Payment Review Commission)を設けること、米国厚生省が診療報酬点数表を作成することなどが定められた。米国厚生省はハーバード大学のシャオ教授グループに研究を委託し、1988年にRVSの根幹である相対評価指数がまとめられた。これに基づきPPRCが議会に改革を提出し、1989年のOBRA89で導入することが決定された。
(2)内科的診療の評価向上と外科診療の報酬低減
米国の医師所得は高額で、OECD(Organization for Economic Cooperation and Development, 経済協力開発機構)の87年の調査では一般労働者の5.4倍と発表している。しかし、医師の種別によって収入格差がありこの正当な評価もRVS導入の際には議論された。内科医学会、家庭医学会、内科医会ではプライマリケア的サービスはメディケアの中で過小評価されているという意見を持っていた。シャオ教授の研究は時間的要素を重視するもので、患者の病歴を取る、生活向上のアドバイスを行う等の診療に対しても十分に評価を与えており、これらの不満に対応する結果となった。アメリカ医師会もこの案に基本的賛成を示したが、外科医会は最後まで反対を行った。RVSは外科医の収入を低下させ、プライマリケア医師に配分するという診療技術の評価の見直しという意図が含まれていたからである。
5.病院外来医療費の包括化のためのAPG−PPS開発
DRG/PPSに続いて米国では、病院の外来サービスに対して包括支払方式を導入することを検討している。医療財務局(HCFA, Health Care Financing Administration)は既にこのアウトラインを連邦議会に提出する旨の発表を行っている。
APG(Ambulatory Patient Groups)とは、臨床的特質・消費された医療資源・医療費の3つが似通った患者をグループ化するものである。メディケア導入については未だ決定をされていないが、今後の動向に注視すべき制度である。
(1)病院の外来医療進出による医療費増加が開発背景
病院外来に導入する予定前払い方式PPS方式は1986年のOBRA制定で設計・構築を行うことが決定されている。この背景には病院がDRGの対応の一つとして外来医療に傾注した結果、この医療費を著しく伸ばしたことがある。1984年の外来の受診回数は12億件で、この大半は診療所 (Physicians office)で救命救急センターや病院はこの内23%にすぎなかった。しかし、現在は約9割の病院が外来サービスを行い1986年頃と1996年前後と比較すると、その医療費は約10倍に膨張しているのである。
(2)既に民間保険では一部導入
連邦議会が設立した「包括支払方式アセスメント委員会」(Pro PAC, Prospective Payment Assessment Commission)はメディケアにAPGを導入の効果には懐疑的である。一方、共和党はPRGの推進路線をとっており、民主党のクリントン大統領と同委員会の間での見解の一致は未だなくメディケア導入の行方は不鮮明な状況にある。
メディケアのこの状況に対して、民間保険では導入に踏み切り初めている。オハイオ州のブルークロスは州西部で1995年に導入、また1996年にはユタ州のブルークロスが州全体で導入を行っており、この抑制効果が明白になることが今後の政策動向に影響を与えるとも考えられる。
6.長期療養サービスの適正化と包括支払方式の研究
(1)ナーシングホームに対する規制強化
1987年にナーシングホーム法規制の見直しがなされ、サービスの適正化のために規制強化がなされた。この改正法は1990年より施行されている。ナーシングホームはメディケア・メディケイド制度上、スキルドケア施設と中間ケア施設などに大別され、従来はサービス機能の基準が異なっていた。
この改正でこれを統一し、保険適用の違いだけがこの双方施設の相違となった。更に基準に違反した場合の罰則強化も行っている。また、高額な入所料金を患者からとることは従来禁止されていたが、実際には行われていたことを鑑みこの規制を強化した。
(2)RUGのナーシングホーム適用とPDGの開発
長期療養患者に対する包括払いの試みはDRG−PPSが導入される10年以上前から複数州のメディケイドで始められていた。しかし、RUGが開発される以前のものは何らの問題要素を含んでいた。1981年に研究者(フェリエス・Friesとコッネイ・Cooneyの2人)はコネチカット医療標準評価機構及びバッテル(Battelle)人材開発センターの収集したデータに基づき長期療養患者をその特性に応じて類別する仕組みを開発した。これがRUG(Resource Utilization Group・医療資源利用グループと訳される)である。現在多くのメディケイドではこの方式を採用しナーシングホーム等への支払に活用している。
更に現在、このRUGの成果を受け継いでPDG(Patient Dependency Group)という長期療養患者の分類手法の開発がなされている。
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